放医研に行った時のお話①HIMAC

先日放医研に伺いました。その場でシンクロトロンなどを間近で見たので、その時のことをノートでまとめたので、お話出来ればと思います。

写真は撮っていいと言われましたが、アップしていいのか分からんので、やめときます。

放医研には、HIMACという加速器があり、これまで5400人を治療し、2003年以降は先進医療の一つとして認定されました。因みにHIMACは数百MeVというエネルギーを放出していますが、兵庫にあるSpring8は8GeV、ヨーロッパにあるCERNの加速器は1.8GeVです。研究目的なので、医療で利用するもの以上のエネルギーを出しても問題は無いでしょう。(MRIの7Tみたいな)

(実はHIMACも結構電気代が馬鹿にならないそうで、1/3程度の大きさで効率のよい装置を開発しているのだそうです。)

現在の日本人の死亡原因の約3割はがんによるもので、がんをいかに治療するかが医療の大きな課題の一つと考えられていますが、その方法には手術、抗がん剤、放射線の主に3つがあります。

これまで日本人は世界で唯一の被曝国で、手先が器用な為外科医が摘出手術することによってこれまでがん治療を行ってきましたが、侵襲的な方法で、リハビリを要するものでした。

抗がん剤も非常に身体に負担をかける方法で、患者さんの身体をだんだん弱らせてしまいます。

放射線治療はその点で、治療中や治療後のQOLを改善することができ、臓器の形態・機能の欠損を少なくすることが出来るのです。

HIMACでは、18Arの加速までおこなうことが出来るそうですが、病院のリニアックなどで加速している電子の質量が9.11×10^-31kgであるのに対して、陽子の質量が1.67×10^-27kgであるので、1uがだいたい同じくらいなのでArはその約数十倍になる訳です。これほどのエネルギーを相対論的なスピードで加速させる為には工夫が必要です。


イオン源室から直線加速器で加速し1/10c(=3.0×10^7m)まで加速させます。

次に、上下の楕円形装置(シンクロトロン)によって4/5cまで加速させる。

それから水平装置という直線部分に乗せ、照射に合わせた修正が行われ、照射されるのです。

具体的には、

がんの広がりに合わせて粒子線の線束を広げる為に粒子線をX,Y方向に同時に回転させるワブラー電磁石。

また、粒子線を更に散乱させて平坦度を向上させ照射線を均一にする散乱体

そして、治療部位の厚さに合わせてブラッグピークを変化させるリッジフィルタ。

この3つがあります。

それから、各照射部位に合わせて作成するボーラスなどがあります。

何故、地下にあるのかと聞いてみたところ、「地下へ放出される放射線は人間にあたる可能性が無いため、遮蔽する範囲を2π方向だけで考えることが出来るから」だそうです。

加速器についてはまた後ほど追記します!

②は核医学検査のお話!

<参考>
IMRTを凌駕するIMIT

コメント

このブログの人気の投稿

ポジトロン核種・サイクロトロン核種の覚え方

GM計数管のプラトー特性:スケーラーを使って

体表指標