CDダイアグラムの実験:バーガーファントムを使って

観察者の主観的判断により真陽性を調べる
 

 X線画像が診断に有用であるかどうかを調べる為に、観察者の主観的判断に依拠した手法をROC解析と呼ぶ。これは複数の観察者に一定の条件において画像を観察してもらい、所見を述べてもらう。所見が偽陽性、真陽性である割合から、その関係性を図示する。
 
本当は無いものをあると言ったり、
本当はあるものを無いと言ってしまう
画像は使い物にならない。
(出典:新潟大学 医学部保健学科HP)
 ROC解析の手法の一つとしてCDダイアグラムという表現方法が存在する。これは異なる径と厚みを持つ円が15×15のマトリクスとなっているバーガーファントム(下写真左)を用いてX線撮影を行い、円の形状の見え方を複数の観察者によって、確認する。


バーガーファントム(0.5mm間隔で径と厚さが大きくなる)
SIDは最大にする。
















①バーガーファントム()を4段のアクリル板の1~4段目におき、最大SIDのもと()X線一般撮影装置で撮影する。

②径(diameter)とファントムの高さ(height)について、何段目で見えたかを1mの距離から実験班員ごとに順に目視で確認する。その上で最も見えた人数の多かったものを多数決で決定する。

③高さ(heght)を縦軸、d(径の大きさ)を横軸においた可視限界特性をCDダイアグラムとして表し、同時並行で行われた他の管電圧条件で撮影したものと比較を行う。



実際の班で測定したCDダイアグラムは管電圧の順にこんな感じになりました。

 
各管電圧のCDダイアグラム

 今回、管電圧が上がることで徐々に目視の限界が大きな径、厚さになっていることが分かります。ただ、目視による観察なので、それぞれで違っている点も多々あると思われます。

 各班とも中心付近のフィルム濃度を拡散光濃度計で調べたところ1.6~1.5であったので、P.E(写真効果)に極端な差は無かったものと考えられます。


個人の観察手法、班内のコンセンサスの取り方によって、基準が異なり観察可能な限界に若干のずれがあったと考えられる。例えば、目視による分解能は数μmであるので、曖昧な辺縁が「見える」と判断する場合と、明瞭な辺縁が「見える」と判断する場合とでは、その程度の誤差が入ることになる。

 <参考>
ROC解析

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