細胞・組織の病理

細胞に生じる様々な変化に対応しきれず、細胞が機能不全に陥る場合がある。これを
細胞障害と呼ぶ。

細胞障害には変性・壊死・萎縮の3つのプロセスがある。

(過程)
変性:細胞にストレス・刺激が加わり変化する。(例:脂肪変性など)
壊死:変性が回復不能なレベルまで達し、細胞が機能しなくなり、組織が死ぬ。
萎縮:容積が減少する。

変性した細胞もそのまま壊死するのではなく、元の状態に再生したり、別の形に化生したりすることもあり、一概に上記のプロセスをとるとは限らない。

(原因)
虚血:細胞に血液が供給されずOが欠乏する。
化学物質中毒:薬の副作用など化学物質の影響により、細胞が変性する。
病原微生物
放射線被爆
その他、遺伝子障害、栄養障害、老化など

(例)
・脂肪肝…肝細胞が大きな空胞となり、核が細胞内の隅におしやられる。
…肥満に寄る単純性脂肪肝と、お酒の飲み過ぎによるアルコール性脂肪肝がある。
→転じて肝障害へ。

中央のLver fibrosisが脂肪肝(wikipediaより)

脂肪肝のCT画像(wikipediaより)


・壊死(necrosis)…非可逆的な障害,業界用語でネクれているなどと言うのだとか。。
①凝固壊死
②融解壊死
③特殊な壊死:乾酪壊死・壊疽(gangrene 腐敗菌の感染・湿性)・ミイラ化(乾性)

死んだ細胞は加水分解酵素を持つライソソームなどによって分解され免疫系によって排除される。

アポトーシス:細胞の自己破壊プログラム。プログラムされた細胞死。
(apotosis)  これが機能していれば、多くの病は未然に防ぐことが出来る。


アポトーシスの由来は木の葉や花びらが散っていく様(細胞も死ぬとなくなる)から由来している。

胎児が持っている水かきも成長過程で退化していく。これは水かき細胞のアポトーシスである。

壊死とアポトーシスの違いは、壊死の場合が外的要因により、細胞が対応出来る以上の変性をきたした時に細胞が死滅するのに対して、アポトーシスはあくまで不要になった細胞を生体が能動的に死滅させている、という違いがある。

例えば、壊疽の写真などを見ると明らかに異常事態だな、と分かると思うけれど、



アポトーシスはちょうど木の葉や花びらが散るのと同じく、必要に応じて生体が自然に行っている行為である。

アポトーシスをおこした瞬間の細胞(独立行政法人科学技術振興機構HPよりhttp://www.jst.go.jp/kisoken/seika/zensen/05nagata/)



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